品質を高める、準備の季節
種の準備
葉の節からなる”むかご”を育てて、できた小いもを種いもとする場合と、育てた”成長芋を切った切りいも”を種いもとして使う場合と、2種類あります。
土の準備
長く地中に伸びる長芋がまっすぐ育つように、トレンチャーという機械を使って深さ約1メートルほどに土を耕します。耕すのが浅かったり、土中に障害物があるとキズがついたり形の悪い長芋に育ってしまいます。
植え付け
種いもを土に植え付けて軽く土をかぶせ、畝を高くします。むかご”や”切りいも1年目”を使う場合には20~30日で芽が出てきます。切りいも”をそのまま種いもとする場合は芽が出るまで40~50日程度で芽が出ます。
ウィルスなどに要注意、生育を要観察
支柱とネット張り
芽が出るとツルが急成長するため、支柱を立てネットを張り長芋の葉がまんべんなく太陽光を浴びられるようにします。そうするとツルがネットにからまりながら2~3m伸びます。この時期に茎の根元にできた新しいいもが大きくなり始めます。そのころ、葉と茎の間にむかごが出来ます。
大忙し!一番の大仕事
収穫
10月下旬より葉が紅葉し、徐々に枯れ始め、11月下旬~12月にかけて収穫が始まります。収穫にはパワーショベルやトレンチャーという大型機械を使います。この時期に収穫される長芋は秋堀りと呼ばれています。全量秋掘りにはせず、残りは掘らずに冬季期間、土中で貯蔵されます。
次の年の長芋のために
準備期間
土の中に残された長芋は一定期間休眠します。通常、植物は土の中にあることで新しい芽を出しますが、低温環境にある成熟した長芋は土の中で休眠するため、芽が出ません。約3~4ヶ月近く休眠期間となり、芽が出る前に、春堀り長芋として収穫されます。
本気じゃないと作れない作物!
長芋栽培って難しい?
病気を遠ざけるための工夫
ウィルスや病害に弱く、その異変に気付くのが遅れると病気が蔓延してしまう長芋。そういったトラブルを回避する手段の一つとして、収穫後次年度はごぼう、その次はにんにくと違う作物を植える事で土中の状態に偏りをなくし、病気にならないようにする輪作という方法があります。この輪作を行うには何年も先まで計画を立てて栽培するということが必要となります。
長く伸びる環境づくり
土の中で縦にまっすぐ長く伸びる長芋。長芋が十分に育つように深く耕し、土を軟らかくするのも、まっすぐ長く伸びる長芋を掘り出すのも人手だけでは到底困難です。その作業の効率化もはかるため、大きな長芋専用の機械を導入します。こうした理由からもわかるように長芋栽培を生業(なりわい)にするには生半可な気持ちではできないのです。
長期戦の長芋栽培
長芋は花が小さく種がほとんどできないため、むかごという地上にできる長芋の赤ちゃんか、長芋自身を切り分けて使う種いも、いずれかを育てて苗にします。この時点で1年を費やし、そこから苗を大きくして土中に長芋を作るため、最低でも2年の時を必要とします。種いもからじっくり、大事に育てなければいけません。